陰陽に基づく食物分類
森羅万象は、陰と陽の二気が絶えず螺旋状に変化し、バランスを保ちながら成り立っています。(陰陽については万物陰陽についてをご参照下さい)。従って食物も、その食物の持つ性質によって陰陽に分類することができます。 ここでは、その分類の目安を簡単にご紹介いたしますので、ご参考になさって下さい。
食物の陰陽分類について
食物の陰陽を考えるときの基準は科学的にはナトリウムとカリウムの割合によりますが、下表のような陰陽の性質も大きな目安となります。
陰性(▽) | 陽性(△) |
---|---|
遠心力 | 求心力 |
カリウムが多い | ナトリウムが多い |
やわらかい | かたい |
冷たい | 熱い |
軽い | 重い |
太い | 細い |
水分が多い | 水分が少ない |
植物性食品 | 動物性食品 |
外側に広がる | 中心に向かう |
成長が早い | 成長ガ遅い |
地中で横に伸びる | 地中で縦に伸びる |
地上で縦に伸びる | 地上で横に伸びる |
暑い国で育つ | 寒い国で育つ |
体を冷やす | 体を温める |
色が薄い | 色が濃い |
ゆるんでいる | しまっている |
粘りがある | さらさらしている |
例えば、動物性食品と植物性食品を比較したとき、動物性のほうがナトリウムが多く、植物性の方がカリウムが多いので、動物性は陽性、植物性が陰性となります。
動物は温かく赤い血が流れ動きまわるのに対し、植物は緑のクロロフィルを持ち動かずにじっとしていることからもそれが分かります。
次に、寒い、もしくは涼しい土地、気候に育つほうが陽性で、暑い、もしくは暖かい土地、気候に育つほうが陰性となります。陰と陽は引き合うという法則から、暑い土地では、陰性で体を冷やす作用のある作物が育ち、
寒い土地では、陽性で体を温める作用をもつ作物が育ちます。季節においても同様に、夏は陰性の作物、冬は陽性の作物が育ちます。また、地中に縦に伸びるほうが陽性、
地上に高く伸びる方が陰性となるので、根菜のほうが陽性、葉菜のほうが陰性となります。一つの作物においても、例えば大根の場合、根のほうが陽性、葉のほうが陰性となります。
このように、食物においてもその性質や季節、環境などによってひとつひとつ陰陽が異なることから、気候風土と食物が深く関連していることがわかります。
人体においては、陰陽のバランスが崩れると病気になるといわれていますので、健康には中庸を心がけることが重要です。そのためには、陰陽バランスを考えた自然に沿った食づくりがとても大切です。食物の陰陽の目安が、健康的な食づくりのためにご参考いただければ幸いです。
日本における食物の陰陽について
昔から、自分の住む土地の近く(三里四方)でとれたに旬(季節の食べ物の出盛りで一番栄養のある時期)の主産物を主食に、副産物を副食に食べていれば心身は環境に調和し健康に暮らせるという考えがありました。 それが、身体と土はひとつであるという「身土不ニ」の考えです。
下表は、日本における食物陰陽の目安です。日本においては米や野菜、豆、海藻などが中庸であることがわかります。そして生活の知恵の中から、野菜の陰性さと塩の陽性さをあわせた漬物や、
大豆の陰性さと塩と発酵という時間の陽性さをあわせた味噌や醤油が生み出され、「ごはん、味噌汁、漬物」という組み合わせが日本型食生活の基本となりました。さらに肉や魚などの陽性食品をいただくときには、陰性の野菜や、かんきつ類、香辛料などをあわせて中庸化をはかってきたことがわかります。
ひとつの食物においても、どこの地方でとれたか、どのように栽培されたかなどで陰陽が異なってきますので、この表はあくまでも目安ですが、ご自身で陰陽のバランスを考えながら、風土と調和した食づくりのご参考にしていただければ幸いです。
(なお、食物の陰陽につきましては、自然のもの、自然に近い形で生育、収穫、栽培、加工されたものをもとにしています)。

- *参考文献:
- ・心地いい暮らしがしたい 料理本 マクロビオティックがおいしい。 ㈱オレンジページ
- ・長く健やかに生きる!マクロビオティック食養生大全 日本CI協会編 株式会社 洋泉社発行
- ・からだの自己治癒力をひきだす食事と手当て 大森一慧著 ソレイユ出版
- ・一慧の穀菜食BOOK 手当て法 大森一慧著 大森秀櫻監修 宇宙法則研究会 一慧のクッキング発行